工業力学第1回―ベクトルとスカラー

工業力学は機械学科においては簡単である。関門となる肝はやはり材料力学だろう…。工学部における工業力学は物体を移動させる力を取り扱うのに対して、材料力学では物体を変形させる力を取り扱う。これがやっかいであり多くの工学部の学生を悩ませる種となっている。また、むしろ抽象的だが、簡単に微積応用が可能で経路の積分などを使用すれば楽勝なのが熱力学である。やっかいなのは具体的にその場その場で解法を変えなければならない、またそのための判別が難しい、材力と流力なのだ。なにはともあれ高校物理でやる力の合成さえわかっていれば工業力学は楽チンである。

最初にベクトルとスカラーの定義からいこうか。ベクトルは力のみならず、その方向性も示す。よくベクトル型とかベクター形式とかいうが、これはこのベクトルという言葉によって定義されている。すなわちベクトルとはソフトウェアでいえば、イラレ(adobe社の主力製品のイラストレーター)であって、スカラーとは力の大きさそのもののことをいうだけである。感覚的な理解が工学には求められるので、こういう説明で直観的に理解してかまわない。さて次に質問を投げかけよう。

30N     50N
30cm 
A————-C——-D———————–B
         20cm       50cm   
            40N                20N

このような梁を考える。この梁にかかる合力を求めよ。なお、梁にかかる力は左からF1=30N、F2=50N、F3=40N、F4=20N、梁の各部位の長さはAC=30cm、CD=20cm、DB=50cmとする。

答:合力をRとすると…

50-(30+40+20)=R ∴R=-40N

またモーメントを考えるとモーメントを仮定するRとなる合力の腕(AR)の部分をrを置いて…

-40AR=50AC-40AD-20AB
ここでARは求める値、AD=30+20=50、AB=30+20+50=100、AC=30
∴AR=62.5cm

求める合力RはAから右に62.5cmの場所、下方向に大きさ40Nとなる。

力の分解と統合はこのように行っていく(どんな複雑な問題でも高校レベルの数学とモーメントの定義があればこの手の問題には困らない)。適宜、三角関数が必要にはなるが、十分勉強できる。ここではバウの記号法(Bow’s notation)偶力の概念だけは押さえておこう。なお、問題は青木・木谷「工業力学」p13より引用。

バウの記号法とは力の連続を示す、連力図を基にした示図法である。ある図に書かれた適当な力のベクトルの間に間にA・B・C・D・Eを振る(このとき力はF1~F5)、そうするとAB間にF1、BC間にF2・・・というように対応するベクトルができる。これをまとめて平行移動させ、ベクトルが途切れないような示力図を示していくと、ひとつのベクトルAEが求まる。これが実は、合力Rの位置と大きさを表している。まあ、試験にはめったなことでは出ないので、覚える必要はあまりないけど…。

偶力とは互いに相反する平行な条件において、大きさが等しいふたつのベクトルのことをいう。

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