哲学者・数学者偉人列伝その5「ホルヘ・ルイス・ボルヘス」

ホルヘ・ルイス・ボルヘス(Jorge Luis Borges)はアルゼンチンの作家・小説家・詩人。専攻は英米文学だが、その業績は新規文学、特にラテンアメリカ文学によるものである。ボルヘスは超常現象とも関連性のある奇抜さを兼ね備えた神秘的な文学を多く書いたが、それらはどの文体においてもけっして浮世離れ・現実離れしておらず、また新しいアイデアに基づいた文学者として今では評価されている。ウンベルト・エーコなどの哲学・記号学・情報学・心理学などに多大な影響を与えているといわれる。

一番の業績が現代から評価されるのは「バベルの図書館」であろう。この短い小説の中で、大きな定義をボルへスはなしている。いわゆる「無限の猿定理」と呼ばれるものであり、ボルヘスは「この世もしくはこの世以上の世界に所蔵されていない本はない図書館」という定義を抱え込んできた。実は(あくまでマスコミレベルにおいてだが)「無限の猿定理」は日本では小柴昌俊にも提起されている問題であったらしい。またボルヘスは文学を語るうえで、それをあたかもあるかのように見据えることが重要だとも語っている。これをもってしてウンベルト・エーコの記号論に強い影響を与えた。

ボルヘスはこのようにラテンアメリカ文学とポストモダン文学とを橋掛けすることによって、多大な思想的業績を世界の思想家や文学者に与えた。神・心・意識・記憶・人、それらをうまく巧妙に使い分けることによって、情報学、特に現代における「シミュレーティッド・リアリティ」や「ハイパーテキスト」のネットワークと呼ばれる分野に着想を与えたという初めての文化人ともいわれた。晩年までノーベル文学賞獲得は必至だといわれ続けたが、政治的な問題もあって受賞には至らなかったらしい。

ボルヘスは生まれつき視力に遺伝性の障がいを抱えており、手術を繰り返すうちに当時の技術では盲目に近い状態になってしまった。エルサレム賞など著名な文学賞受賞多数。晩年はアルゼンチンの有名大学で教鞭をとった。妻はマリア・コダマ。ボルヘスの死後、現在も彼女は財団活動にかかわっている。

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