マジで恋する書籍レビュー:「補給戦」クレフェルト

本書の内容は簡潔だ。歴史をたどったうえで、補給戦こそが、すべての勝敗を決する物資戦闘であるということを、実史理論をもとに書き出したところのみだ。いかにもイスラエルの戦争理論に近しいが、まったくもってこの書籍はそのとおりなのである。それをちょいとふりかえりながら書いてみる。

著者はイスラエルの軍事学者・著述家である。イスラエルの歴史を振り返ると、実はこの国は近現代以降に作られた最初の国だった。矮小で人口少ない国だったし、弱かった。だからそれをバネにして最強の人材と最強の武器、なにより最強の知識を求め続けた。ちなみに言っておくとイスラエルの総人口はたったの400万人。日本の都道府県レベルである。だからこそこの理論は導かれた。

筆者は歴史を振り返って、補給ラインの構築こそが戦争学のカギだという。これまでに様々な武装理論や基地の構築理論はあってもそれはどれもが革新的でなかった。それが座学としてあるのであれば、やはり新しいモメントを戦争から学ばなければイスラエルの未来はないというのである。それゆえクレフェルトは兵站理論でもってしてナポレオンからノルマンディーまでを過去に振り向き、未来に向かって、最強の国を軍事的にうちたてることが頭の片隅を、意図せずとも横切ったに違いない。

イスラエルを考えるとき、補給の兵站学は極めて重要だった。徴兵制はあってもその中身の理論の革新が求められた。今、イスラエルは技術を軍事応用することで、また、軍事理論も更新し続けることで中東におけるプレゼンスを維持しなければならないような環境にある。その傾向はしばらく続く。これは日本の自衛隊にもいえることであるのは間違いない。その性質ゆえ特殊性はイスラエルにも日本にも別々に付与されているのだ。

クレフェルトはやはり現実性を見て、戦争の基礎を打ち立てた。うわさに聞くとやはりこの「補給戦」という著書は、自衛隊の士官学校でも使われているという。日本では防衛のために強襲上陸艦からの本土防衛および離島などの活用をせねばならない。それは国家のエゴの中にある以上、しかたがないことであるからしておそらくこの著書はどの国の軍隊でも古典的な著書として扱われているというのである。それは日本でこそ有効なユダヤ人の作った戦争学の理論(戦争を推奨するわけじゃなくても)である。

副題は―”なにが戦争を決定するのか”という。日本でも今いろいろ軍事・地政学的にガタガタしていて、この著書なんかも見ておかねばならないなと思った次第である。多くの一般の人に軍事学の基礎を学ぶにあたっては極めて重要な書籍だと思う。シーレーンの古典的な著書と合わせて読んでおくと今の日本のおかれている軍事的知性からなにか現代性を読み解くことが、きっとできるに違いない。

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