これならわかる国際政治:イスラエル―「中東の要」

イスラエルはユダヤ人の国として近現代以降に成立した国です。そもそもこの国が微妙な立場に置かれていて、よくよく紛争が絶えないのはイギリスの三枚舌外交にあります。フサインマクマホン協定・サイクスピコ協定・バルフォア宣言という矛盾した三様の協定を各国と結んだのです。それぞれが、アラブ人・先進各国・ユダヤ人に対しての口合わせでした。イギリスはこの責任を取るべきだという意見もいまだ大きいです。建国当時は弱く女々しかったイスラエルも現代では中東最強の国と言われています。

まず、科学技術力がすごく高いです。とくに軍事応用では世界にひけをとりません。国際政治上で地政学的に聖地エルサレムを実効支配しているため、どの国よりもキーとなる国家とする学識者は多いはずです(たぶんパリとかNYに並ぶぐらいすごい都市)。何度も中東戦争に勝っていて、イスラエルが中東最強の国と言われるゆえんが軍事技術と地政学的なプレゼンスにあります。実は先までこの国を率いていたアリエル・シャロン(Ariel Sharon)は中東戦争の英雄です。

人口は少ない(千葉県ほどの400万人の小都市国家)ですが、キーとなるような政治家が多く、またユダヤ人はかつて国家をもたなかったため、世界各国に有力なネットワークをもっていて、これがすごく強い要素になっています。金融証券会社や、ロビイスト(圧力団体)などが、強い実権を陰で握っているというのはよく言われることです。有名なロックフェラーもまたこのユダヤ系の民族出身であり、国際的に有名な科学者もほとんどがユダヤ系(特にこの場合ユダヤ系アメリカ人)です。自治共同体であるギブツがあり、自給率も高い…このコミュニティからは有力な指導者が伝統的に多く輩出されてきました。

敵対関係も多く含めて諸外国と複雑な事情を抱えるため、軍隊は徴兵制があります。エジプトとは仲が最近になって良くなってきましたが、イランとは今でもとても仲が悪いです。これはイランの強硬派とイスラエルのタカ派が真っ向から対立することになっていて、とても仲が悪く、世界史上まれに見ないほどの悪い外交関係があります。聖地エルサレムの支配のからみで、パレスチナとも問題を抱え(いわゆるパレスチナ問題)、バルカンよりも今、ずっと火薬の地帯といっていいでしょう。イランはイスラムの国・アラブの代表国で、ユダヤを敵視しているのもあるでしょうが、国内に穏健派もいて、どっちともつかずともいえないこともないですが、基本的には犬猿の仲です。超簡単に言えば、それはシオニズムをイスラエルが掲げ、それをイランが認めないからです(詳細な経緯はかなり複雑)。

日本では村上春樹が文学的に有名なエルサレム賞とかを受賞して、壁建設(パレスチナとの国境分断政策)をその式場で批判するなどして、ひんしゅくをユダヤ人から買ったこともあります。ですが、イラン・パレスチナともに国際貢献に著しい成果を戦後挙げてきた日本とは非常に仲が良く、日本で活躍するイラン人の作家やプログラマなどの技術者は多く、またスポーツ選手でもダルビッシュ投手のようにイラン系のひともいます。

日本は今後こういう状況を垣間見て、この懸念を一緒に考えていかなければならないでしょう。今、日本がイスラエル・イランともにどちらの国とも仲が良いため、できることはあるはずです。著名な国際政治学者であるエマニュエル・トッドは世界で最も危険な地帯は中東と東アジアと述べていますが、このうちの一方を鎮静化できるのは間違いなく日本の外交努力にかかっています。

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