これならわかる国際政治:「ソフトターゲット」ってなに?

テロのネットワークはすごく簡素にできています。ただしそれゆえ、一般人に紛れ込んで、どこで起こるかもわからないテロリズムの行動領域が限定されないということがあるのです。これを「ソフトターゲット」と呼びます。一般的には「警備のうすい部分を狙ったターゲッティング」といわれることが多いですが、たしかにそうです。が、実際の警備の部分がうすい部分だけでなくそれはターゲットが”限定されない”ということでもあります。

昨今、フランスで起きたテロはすべてそうです。音楽会場なんかは格好の標的ですが、ではなぜここを狙うか?例えば、この「ソフトターゲット」の観点から言えば、警備しきれないぐらい小さな会場ってのも考えられます。もちろんリオ五輪のようなターゲットもありますが、語弊を承知でいえば、これはテロしにくいターゲットです。でっかい会場で一回きりのターゲットですから、警備は厳重。音楽会場は何回も分かれてしかも警備が手薄ですから狙いやすいのです。

どこで起きるかわからないテロリズムのネットワークのことをアルバート・ラズロ・バラバシ(Albert-László Barabási)は「蜘蛛なき蜘蛛糸のネットワーク」と呼んでいます。これはテロの中心人物がいないということでもあります。すなわち個々の要素が独立して活動するためそれの標的となる(「ソフトターゲット」も含めた)ターゲットにおいては、特定しにくく、しかもそのテロ構成要因が自己組織化しているわけです。ちょっと難しい問題になりましたが、要するにテロネットワークにおいては、中心人物がいません。

そういうことで、複数名により別個に活動し、しかもそれらが、つながりを自然と持ち、それが特定しにくく、しかもテロをどこで起こすかわからないという問題のことなのです。これが「ソフトターゲット」の意味合いの真実です。ビンラディンが死んだからといってそれですべてまるく収まるわけではない。次々とネットワークの組織化に個々のテロリズムを標榜するテロリストがいるので、テロネットワークは沈静化することが極めて困難なのです。

しかも、それが世界中に分布している。だから呼びかけによって多くの不満分子がくすぶり、国内問題としても国際問題としても表面に影響が顕在化するわけです。これが現代のテロリズムの特徴だといわれています。補足として言えば、もっともバラバシモデルとしてバラバシが提供したネットワーク理論はテロネットワークだけに限らないので、実はウェブ(例えばYouTubeでも)などでも同じネットワークモデルは散見されるのです。

marikoi

ここの主筆・共同管理人。ぶっちゃけ狂人。

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