連載たまにはゲームでも:「Deus Ex: Mankind Divided」に見るオープンワールドの難解性

最近話題になっているHotなゲームはこの「デウスエクス」最新作だ。史上最高峰のFPSゲームのうちのひとつといわれる、Deus Exシリーズの中で、最新作が称賛されるべくして出てきたものではなく、酷評されるべくして出てきてしまったのはゲーマにとって意外だった。これはオープンワールドという概念の構築がいかに難しいか、それが如実に表れている結果だ。特にDeus Exシリーズの中で直近の本作だけが酷評されているのがすごく印象に残る。

このようにトレイラーを見てみたり、あるいはメタスコアや受賞歴を見てみる限りはどう考えても素晴らしいゲームであり、「神ゲー確定」なはず。だが、ふた開けるとその中身は残念落胆するブツであった。本作はDeus Exの最初の本格的なオープンワールドゲームであり、それをアピールしつつ洗練されたゲーム性が魅力的、触れ込みはそうだったのだが、期待を裏切られた、と評するレビュアーは多い。

そもそもゲームのストーリーが貧相で、表立ったPRポイントがないらしいという下評判はある。あるいは、DLCの使い切りのゲーム内購入手法だったりそれに基づいた”儲け”や”利ザヤ”を稼ぐ悪徳手法だったりしたわけだが、それはそれでいいと仮定としよう。たとえ、貧相なシングルゲーであったとしてもゲーム内購入があったにせよそれはそれで問題ないものとしておいておいて、その実、本作はオープンワールドに恥じない拡張性あるアクションゲーだったはず…。だが、いくつかの問題をほっぽっておいたとしてもかなり今作は問題だらけだった。その理由が「オープンワールドの罠」なのだ。

好きなときに好きなクエストを自由にこなせる、人間模様が多彩で行動性が広い、クラフトシステムを中心とした箱庭系の拡張性がある…オープンワールドはいくつもの難題を抱えながらも”世界内世界”という概念でゲーム業界に旋風を巻き起こした。だが、その罠にひっかかるタイトルが最近多すぎると思う。このDeus Ex最新作でさえそれは同じ。いわゆる線形モデルからいい意味でかい離した非線形系ゲームモデルを標榜しているのがオープンワールドの特徴なはずだ。要するに自由度が高く、世界を冒険できる。だが、そこに罠がある。OWでもなんでもなく、プレーしてみると、既存のワールドをメタでありていに模写しただけ。メタルギアシリーズ最終作でさえそうだった。システムに対しての不満や鬱屈が爆発し、高評価をつけるレビュアーが減ってきている…これは目に見えてわかる。―「人間は生まれつき自由という刑に処されている」サルトルの言葉だ。

4gamerの奥谷が指摘するように、メタスコアと現実のユーザレビューのかい離は現在激しい。本来、ゲームはゲームであって、それでいてその中に空想や妄想にダイブすることで快感を覚えるものだ。だが、我々の社会における自由度とゲーム内における自由度を考えてみると、このオープンワールドアクセッシングは一介の企業が設計するにはあまりにでかく肥大しているのだ。絶妙なバランスが必要とされるゲーム業界でこういったことが起きるのはむしろ自然であり、模倣的なゲームが無駄に増殖しているのにはネガティブな感情とともに納得がいく。主人公アダム・ジェンセンがその期待に答えられたかどうかということで、本作には(また、オープンワールドを提唱する最近の酷評作品には…)疑問符がつかざるを得ないのだ。

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