特集記事:ローザからの共産主義の贈り物は「思想的爆弾」か?

「道徳なき商業」「労働なき富」。ガンジーはかつていわゆる、「ガンジーの七戒」の中でこの二つを現代社会における経済的懸念として述べている。株式、通貨取引、先物…虚業はなにも生まず、実業こそが経済的実体を生産できる。誰かが得をすれば誰かが損をしている、すなわち虚業はゼロサムゲームである。実業とは違い何も経済的実体を生まない。誰かが笑っているとき、誰かが泣いているのである。現在の経済の様子がこういった虚業に傾くとその腐敗は一度始まったが故暴走し、マネーが錯乱することで国家像や政治プロセスに多大な影響をもたらすかもやしれない。

「核爆弾よりも多くの人命を奪った」「暴力革命を肯定した」という単純な思考で共産主義を批判するものは今でも多い。では、民主的プロセスにおける失敗はなぜ起こるのだろうか?革命を肯定的に評価したのは民主主義も同じだ。端的に言って、フランス”暴力”革命がなぜ日本の世界史の教科書で強く書かれているのか?単純な反共主義はよく歴史やものごとのありかたをちょっとでも客観的に考えたことがあるのだろうか?

思想家の東も語るように、人命が失われたこそ革命がある、という論理は民主主義の歴史的には正しい。周知のとおり日本で起こった革命は無血革命だけであって、暴力的な革命こそ日本における民主主義に先立つ条件だという意見もある。現に日本でも本質的革命が必要だと考えたのはステレオタイプの左翼だけではない。三島由紀夫は日本の衰退を憂い、市ヶ谷で自衛隊員決起革命を呼び掛けて失敗し、自害した。その結果、石原も認めるように天才であった三島のいったことは現代の日本で現実になりつつある。東も他国の例を挙げて言う(http://www.nicovideo.jp/watch/sm27574135)。

ウクライナの民主活動のオキュパイでは100人死んだ。日本の知識人は「人の死がないのが良い」と指摘する。だが、ウクライナではある期限をきっかけとしていきなり銃撃戦が起き、100人死んだ。そうしているうちに、大統領は亡命し、政権はひっくり返り、ロシアがクリミアを取り、戦争がはじまる。何千人も死んでいる、むしろ何千人死んだかすらわからない。だがそれがウクライナの運命だった。ウクライナの独立はかつて「ソ連崩壊において棚からぼた餅的に降ってきたものだった」が、「今回の騒動でウクライナのあるべき姿がわかった」とウクライナのある若者は言っていた。

民主資本主義は確かに多くの人を豊かにした。一方でそのデメリットは今後強くなるかもしれないと廣松などの共産主義思想の影響を受けて、池田は主張している。世界的グローバリズムは恒常的な資本減衰をもたらすかもしれないと考える人物もピケティや池田も含めて多い。その一介として、マルクス主義やそのうちに潜んでいるローザ・ルクセンブルク主義も未来を先だって予測しようとしたのである。民主資本主義の中で成長を諦めて、定常的に経済をコントロールすることで「無成長社会」を実現しようとする思想まである。

これは経済的主義と思想的意味とでは中身が違っていて、それが、人間が思惟する動物であることの証拠だと私は思う。マルクス経済学は経済学的には破綻しているが、マルクス主義思想は思想的には今でも世界の最先端を行っているのだ。人間の総体として暴力論という共通項があるのは共産主義のせいではない。それは、人間の存在自体が悪だからと考える方が妥当である。

民主活動においてその内部に共産主義のようなものが含まれていたっておかしくはない(現に日本共産党はその一例であるし、その存在を認めたのは政治犯釈放というアメリカの”特赦”だった)。それは人間が人間であるという、サルトルがゲバラを称賛したような論理と時同じくして成立する実存的な庶民的なエゴの思想である。「私は人間だ、あなたも人間なのだ」人間は人間である以上、人間という存在から縛られる。サルトルはこれをもってして、「人間は生まれながらにして自由という刑に処されている」とした。佐伯はサルトルの言葉、これをもってして、「自由とは不自由の中からひきだすものだ」と本書の中で述べている。

私が実存する以上それ以上本質に先立つものを見出せない。Linuxという情報主義の傘下に共産主義の影響があるとリーナスも認める以上、社会の革新系は確かにおぼろげながら存在し、ひょっとすると、それが主権国家という脆くむなしい概念が消えうせるきっかけとなるかもしれない。国家を否定するのではなく、国家が自ら崩壊(自壊)するのである。

いずれにせよ、私たちはローザ・ルクセンブルクからの贈り物の中身を知ることはできない。ただ、一つだけ警告はその贈り物を開ける前にある。それは、贈り物を開けた中にあるのがダイヤモンドの原石ばかりと考えるのはあまい未来史観というヒントのことだけだ。

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