エンタメ評論:「リトルウィッチアカデミア」続編テレビシリーズ制作へ

日本発のグローバルコンテンツが世界に通用するということを証明したのが、このトリガー制作の「リトルウィッチアカデミア」だ。トリガーはコンスタントにいい作品を作り続けてきたし、今作の上映は吉成曜の才能が世界に向けて開花した瞬間にほかならなかった。キルラキルに始まって、ニンジャスレイヤーまで表現の幅は尋常ではなく広い。それらアニメ制作の制御を土台にして、うまく風呂敷を広げることに大成功している。一部ニンジャスレイヤーは古典的すぎる中学生向けのアニメだという批判はあったが、やはり計算高い作品だったことが今作を見る限りよくわかる。

今作が革命作でありながら、古典的にも成功しているということにはいくつかの理由がある。まず、ツイートリンク先にもあるように吉成曜の才能が光っていることが第一だ。エヴァをはじめとしてグレンラガンなども手掛けてきた超上層の知る人ぞ知る有名アニメータなのだが、大物に隠れがちで一般的な知名度は低かった。だが、それは「リトルウィッチアカデミア」の監督職で完全に否定される。彼の才能がどんなアニメーションの色にも自然に染まって適用できるのがよくわかる。要するにアニメに合わせて、自分の作るべきものがいつでもみえているわけだ。

二つ目の理由はアニメーションの作り方だ。表現多彩で様々なものを作れることを実証したのは、トリガー所属のアニメータ・監督としての彼の役割だったが、今作ではフルアニメーションではなくリミテッドアニメーションとして特殊なコマ回りで作られている。これは、コアゲーマの受けが良い格ゲーの「スカルガールズ」でも使われている技術で、リミテッドの場合コマ回りが特殊だから、独特な色彩が表現として出ている。しかもその温かみのあるデザインがそれをうまく彩っているわけだ。このあたりはツイートリンクに動画とかアプリケーション専門家の詳しい解説があるのでそれを参照してほしい。すごくいい記事になっている。求められる技術はこの種別のアニメには高いものがあるけど、それにうまくついていっている。

第三に自然な世界観とキャラクターとストーリの作り方だ。リトルウィッチ~ではアニメーションの古来からのいいところと現代的ないいところがうまくまじりあってミクスチャとして成功している。ファンタジー作品全体としては、けっして現実離れしていないのに、アニメーションとしてはいい意味で現実離れしている。例えば、大きな騒動が起こってそこに解決に向かうという王道的な現実ストーリの中で、その場面場面の描画は後半に行くに従いぶっ飛んでいて、それでも全体としてはバランスがとれている。近作の「魔法仕掛けのパレード」では巨人の描画あたりがあるいはやはりクライマックスの後半にいくにしたがって魔法効果のありかたとして誇張されているように感じるけど、それは現実的な夢とかスラップスティック(slapstick)的内容になっていて決して魔法少女ものに見られるような「ぶっ飛びすぎ」なものではない。なによりテンポ間はすごく良くて、その個々の部分を見れば、先述したように作画マニアにとっても素晴らしい格好の評論材料になっている。

そのスラップスティック調のテンポ間ゆえ、だから海外の人間でも日本アニメオタクではない層にも受けが良い。だからこそクラウドファンディングでも大成功して、次回作がきちんと作られている。それゆえにこの作品はアニメの枠を超えて、ジャパニメーションとしてジブリでさえ作れないものを作っている。富野などがこのシリーズを今後どのように評価するのかは非常に興味がある。新海・細田作品に並んで、傑作のアニメーションとなるのは間違いない。トリガーは社名に表れているように日本発のコンテンツが世界に通用することを証明する「トリガー」になるだろう。

「神アニメ」ってこういう作品をいうんじゃね?「アニメ」って本来こうじゃね?そういう定義を持ち込める今注目できて、あまりに隠れすぎなもったいない秀逸な作品だ。

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