マジで恋する漫画レビュー:「ちはやふる」末次

レースを問題にする気はありません。まったく気にはなりません。末次さんにはトレース問題があって、それを指摘する人もいますが、そんなん多かれ少なかれ誰でもあるもの。だからこの問題を蒸し返したり本人を攻めたりする気はありません。でもこの漫画には私はそのトレース問題とは別に、やはり酷評せざるを得ないです。確かにこの漫画は技術力もあって描画力もあるのですが、それまでの漫画から一線を変えることができておらず、新鮮味があるといえばあるのですが、それは競技かるたと恋愛を繋いだだけの”王道”漫画だからです。映画化になったのも自然で、それはそれでいいですが、やはり「芯」がない。ふつうこの時点でリアルで勝てるわけがないというシーンがある、甘粕が負けるはずないところで負けてる。リアルを描く漫画でもなく、理想を描いただけの漫画になってやしないでしょうか?そういう意味で私的には合いませんでした、ストーリに深みがなくて、それを追っただけで満足できる、初読感だけの漫画になってしまっている。はじめの初読感は確かにいいですよ、素晴らしい。

ただ、これでは漫画の展開性を未来にわたって可能性やコンセプチュアルなものとして描くことが出来ていない。末次が言うように漫画を今後も描き続ける事が出来るのか多いに疑問です。少女マンガ系の典型的王道漫画ですね。ギャグもストーリも初めて読む分にはいいです。ですが、それまで。それ以降語り続けるための物語がない。評論系のブロガーはあまり良い印象持っていないのではないでしょうか?漫画の展開も風呂敷を広げただけで、終わっていて、新規キャラを出させればいいというような感覚を持ちました。一方紙屋はこう(http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20100414/1271254116)語っています。

『ちはやふる』の勝負描写は、少なくとも現行の8巻までにおいては、勝利の描写ではなく、敗北の描写こそが圧巻である。千早は、かるたクィーン(競技かるたにおける女性のトップ)で高校1年生の若宮詩暢と対戦し、徹底的に制圧される。ほとんど手も足も出ず、若宮の勝ちっぷりの前にギャラリーは心中、「公開処刑ってゆーんだよ こーゆーの」「マジ当たりたくねー」と戦慄する。千早自身はかろうじて終盤に反撃を繰り出すのだが、結果は大差で敗北。会場から消え、ロビーで座っている千早に声をかけようとした真島が見たものは、大粒の涙をこぼしながら、自分に言い聞かせるようにつぶやく千早の姿だった。

同URLより引用

そりゃそうだよ。でも敗北とエトスとかなんとか勝負とかスポーツマンガ系統とかいっちゃそりゃ「あしたのジョー」とか「Happy!」とかでも多少毛色変われど十ニ分にもう数十年前からやられていることだろ?それを蒸し返して物語を語り続ける、それも無理的にです。だからストーリにうすさが見られるんですよ、今見ても新鮮味が「かるた要素」以外にないという指摘は多い(http://sakuhindb.com/jmanga/Chihayafuru/)のです。Amazon層にはいいのでしょうが、マップスとかに反応するコア層には受け付けないって意味で私は酷評します。漫画には革命が必要だ。漫画は新規要素を盛り込んでこそやはり新鮮味がある。私はうまるとかと単純に比較できるものではないとかたくなに信じていますが、それでも事実、新規要素とか心理描画とかをうまるでは新しいことをやっている。マップスは作画で革命を起こした”功績”がある。

それに対して、これには新しい試みがほとんどないです。だからこそ映画になって成功してもいいけど、それは”王道だから”なんです。亜流の漫画を認め続けている私(たしかに”競技かるた題材”は亜流ですがストーリ本筋に影響するほど革命的ではない)には受け付けられない漫画なんです。この評論の最後、紙屋はさらに末次の漫画絶版問題を認めて、これをちはやふるでの敗北エトスとして重ねていますが、これも奇妙に無理やりなこじつけです。私はこの点では末次を擁護しますよ。紙屋はこじつけの論理を使いすぎだと私は紙屋のことをこっぴどく批判したいと思います。

漫画つのは追求性をどこまで行うかの問題(例えばこれは「星の王子さま」と「夜間飛行」でデグジュペリが描き分けたことに等しい近しい論理)とか哲学とかイデアとかコンセプトがやはり今の時代は主軸になると思う。それにあっていないかたにとっては酷評の要因となるでしょう。もち、王道系の擁護派がいてもいいんです。それは認めます。が私的には認められないということです。それがないからこそ、あたかもブリタニカ百科事典のごとく、また読み返したいな再評価したいなという意志をもっている最強の漫画百科的タイトル”だけ”を集めたいと思う私的には認められんというだけのことなのです。無論それを他人に強要させるわけではありませんが。―故に私は条件付でレビューします、初読では60点反読では30点といったところですね…。

*この投稿は許諾の上改変掲載されているものです。

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