これならわかる国際政治:台湾の「空母キラー」と日本における軍事技術転用総説


これは私的にも非常に興味深いことなのですが、技術が軍事転用されるということは実は極めて重要なことです。例えば、民間の技術が軍事に転用されるということはかなり興味深い事例であり、この分野ではすごく高度な安全保障問題の知識・軍事地政学的な知識が必要となってきます。みなさんのお父さんは会社にお勤めでしょうけど、例えばそこが三菱重工業だったり、伊藤忠だったりしたと仮定しましょう。ここは自衛隊のミサイルとか戦闘機とかあまたの貴重な技術がガンガンあります。まさに、国家機密レベルです。

よく新聞で技術流出とかスパイ問題が取り上げられますが、これは国の存続の問題でもある。伊藤忠は商社ですから(むしろもともと旧陸軍のひとが作った会社)、ミサイルの卸売りとかをズバズバやっています。これらの情報が中国に漏れたとしましょう。するとなるとこれは大問題ですね(もちろん流出先がロシアだったりむしろアメリカだったりするかもしれませんね―あえて中国と仮定したまでです)。だって国防に関する問題ですから、これが漏れれば対抗策を国防大臣が出してくる。もう一方も軍拡政策を出す。すると「ゲーム理論に基づく基礎的な軍拡競争(ナッシュ均衡問題)」になりますね、まさしく冷戦の時代です。

日本では民間企業はこういった事例に関わることも必然的にあります。例えば…

・IHI(旧石川島播磨重工業)ここはロケットとか作ってるよね!

・MHI(ご存じ三菱重工業)戦闘機ミサイルライセンス生産およびそれらの整備一括受注。

・KHI(川崎重工業)日本でザクとかガンダム作れるとしたらここぐらい。

というようにありますね。ですがこれだけでしょうか?私は実はある中小企業の採用担当者のかたと話せる機会がありましたが、やっぱこういう下請けは潤ってるわけですよ。そしてエンジン計測機器とか(地味だけどノウハウは世界一)作ってる会社もある。ご存じNASAの受注をしている岡野工業、三鷹光器とか近しい分野まである。技術力がある立派な世界に誇れる日本の中小企業ですね。ですが、それとは直接的にかかわりはなくても間接的な軍事技術というタブーでもあるわけです(それがいいか悪いかは別個のものとしても)。ではこれが民間企業ではなかったらどうか?

それが大学ですね。アメリカでは軍事技術リクルーターがいてここにはプロゲーマを軍事に応用したり、あるいは大学機関と軍事技術提供構想の提案をしたりするそうです。日本の科学技術会議はこの話題で最近紛糾しています。というのも日本は第二次大戦で大きな代償を払った。そこを礎にして軍事技術を大学研究者が使ってはならないというタブーというか決まりまでできたのです。ここにきてそれが揺らぎつつある。「国防を国の研究者が担わなくてどうするんだ?」という立派な意見もあるわけです。議論は紛糾し、結果なんとか転用はしない方向性に落ち着いたようですが、一方で日経はこの類の研究を肯定的にとらえる識者の意見を掲載(http://www.nikkei.com/article/DGXZZO14190910X10C17A3000000/)しています。

台湾はこれにはタブーをつくっていなくてこういう事情(http://mjdkoisuru.review/2017/01/16/343/)がありますから積極的にミサイル開発や高速コルベット開発をする。これは日本とは大きく違う点ですね。特に昨今では中国はミサイル標準を台湾方向へ一斉に向けていますから、非常に緊迫しています。アメリカも台湾に肩入れして、いわゆるランチェスターの法則といわれるような「バランス・オブ・パワー」に基づいた外交政策をとります。トランプがどう動くかは未知数ですが、なかなか奥手ではありますよね。オバマはきちんとこれがわかっていて、台湾に肩入れをしていました。田母神さんも確かな軍事知識は持っておられでやはり軍事専門家としては(外交や歴史問題認識はある種多少はおかしくても)貴重な敏腕であられた。

中国はこれから空母を持とうとしますから、台湾側としてはコルベットとか上回る性能のミサイルを持っておきたいわけです。そういうことで台湾政府はこういうたっかい性能のミサイル(http://www.sankei.com/premium/news/160806/prm1608060009-n1.html)を作るわけです。中山科学研究院の作ったミサイルで、「雄風3型」というやつですね。最近、コルベットも導入予定され(すでに導入モデル「沱江」があります)、こちらは足が速いため急速に空母に近づいて、空母本体をたたくというものです。機動性に優れているので場所特定されにくくステルス性能も持ちます。これだけ軍事知識で博識なWikiが日本の現場にあって中国とかロシア、もちろんアメリカの研究者はどう思うのかそれすら興味深いのですがwww。

さて、ここまでくればなんとか軍事マネジメントの初歩の初歩ぐらいにはなったのではないでしょうか?あなたはどう思いますか?日本を守るためあるいは集団的自衛権のためであれば大学や民間企業が積極的に国策に携わるべきだと思いますか?それとも軍事技術やそれに応用されるであろう宇宙技術についてどのようなスタンスで大学企業等がどのようなタイミングでかかわるべきでしょうか?これは非常に難しい包括的な問題なのです。

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