連載たまにはゲームでも:デジタルゲームメーカ小さな巨人、Monolith Production動く。【Middle-earth: Shadow of War】

※画像はhttps://en.wikipedia.org/wiki/Monolith_Productionsより引用

とうとうゲーム業界における伝説級のデヴェロッパが動き出しだした。「F.E.A.R.」FPSシリーズで大成功を収めた、過去の大いなる遺産を抱くデヴェロッパだ。モノリスは神話上の秘石を意味するが、彼らモノリスプロダクションたるレジェンドが作るゲームの新作トレーラーがお披露目された。お題は「Middle-earth: Shadow of War」。その名が示すとおり、中つ国・指輪物語(トールキンによる小説を原作とした映画「ロード・オブ・ザ・リング」でも大きく知名度を上げた)の世界を舞台にオークや人間、ホビットが「一つの指輪」と終末を巡って戦いを繰り広げる。剣戟・魔法・ファンタジーと世界観の風呂敷はでかい。

もともとモノリスは日本のゲームにきわめてセンシティブであることで知られている。伝説の名作「SHOGO」はスポーツ系に属するFPSで、アニメ調の世界観と洋ゲーを混ぜた可変ロボットものという異色すぎるブツ。この名作を知っているか知らないかで業界のモグリかどうかが判断できるといわれて久しい。実は某金融機関のCMで活躍していた日本人ダンサーのかたが主題歌を歌っており、敵にガンガン血なまぐさい戦闘をしているその中で流れるアニソン風のイメージ曲はゲームといえどもギャップがすさまじく、この様子を生でプレイしていた我等はある意味で”変態”。だが「SHOGO」はクソゲーではない。”昇剛”彼らがかつての公式ページで主張していた日本のアニメに影響を受けたというコンセプトどおりまぎれもなくこのFPSは神ゲーだった。

当時としては珍しい可変ロボットを用いたアクロバティックな要素。それはガンダム並のロボット戦闘と銃器類による白兵戦をミクスチャした最強のゲームセンスを持つ作品であり、絶妙なバランス感覚の上で成り立つ、FPSとしてはあまりに独特すぎるものだった。カウンターストライク旧作がオンラインの貧弱な通信回線上で全盛を誇る中、シングルでこれだけの個性派作品を作ったことは今となってはまさしく”伝説”。ニコ動で見る限りこのゲーム、カス扱いするものも一定いるが、それは古代のゲームに対するリスペクトを忘れておる。個性派すぎる個性的なFPSを一個選べといわれたらこれを挙げるコアゲーマも多いはずだ。

↑例のブツがこれであるwwwまさかのロケランとアニソンのコラボレーション?

モノリスは「SHOGO」「Blood」「Tron」といった振り返れば化石級ゲームのベンチャー期を経て「F.E.A.R.」で知られるようにになった。「ホラーは完結させてはいけない」という業界の鉄則を破らずに、これをFPSにアレンジしたことで一般的に知られるようになったわけだ。当時はコンピュータースペックは貧弱だったが、ホラー演出に優れ、恐怖体験を凝縮した上で語られるストーリーは人体実験・意識世界という極めて異例のシーン尽くめに仕上がっている。ホラーの鉄則を破らずホラーFPSを作ることは至難の業であっただろうが、モノリスはこれを見事にやってのけた。今、振り返れば、モノリスは小さき巨人とでもいうべきデヴェロッパ。百数十人規模の決して大きいわけではない会社だが、いつでも業界の異端児であり、異色過ぎた。だがそれゆえの成功を経て、今のモノリスがある。

さて、実は私は個人的には中つ国・指輪物語のファンタジー世界は嫌いだ。小さいころに大ヒットした前述の映画をみてその物語の復活ご都合主義と原作を軽んじて解釈した軽薄さに嘆いたものだが、近作は違う。攻城戦闘を中心としたオン要素=ゆるいつながり、本筋のオフ要素をうまく取り込み、世界観をゲームタッチでゆえの芸術と表現したものは、原作者の故トールキンにとっては”都合の良いお遊戯”かもしれない。だが、デジタルゲームとしてはトレイラーを見る限り、「Mount & Blade」シリーズと並んでそのファンタジー世界を別種の色彩で描くことにきっと成功するだろう。すでに10月は「待っている」。

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