意思決定の理論:法の呪縛から人間は解き放たれるか?ミネルバ・朴裕河・堀江・村上・竹中・マイクロソフト

※画像は朴裕河のTwitterアカウントhttps://twitter.com/parkyuhaより引用

法学には成文法と不文法とが存在する。成文法は成文構成主義による法学の概念であり、これすなわち大陸法である。英米では成文法を基礎としながらもそれを不文律によって応用する試みが、コモン・ローの基軸としてある。不文律を含むいわゆるイギリスでのその応用の事例は「判例主義」と呼ばれ、イギリスの法哲学者ホッブズが自著の中で思想理論的にかつて言及したものだ。

不文法を基礎とする法学理論においては人の感覚そのものが成文になり法学の体系的理論のうちの支流になりうる。これがイギリス法と大陸法との大きな違いである。その背景には哲学におけるイギリス経験論と(ドイツを中心とした)大陸哲学との違いがある。その”帰納と演繹の法学的対立モデル”を国家のアイデンティティーに限ったりナショナリズムにまつわる混迷の論理としてはここで扱わないが、これは昨今では日本や韓国といった”法学後進国”においても十二分注目すべき点であるように思える。それは「不文法の概念は厳しく人間を規定できない」と批判される論理の上に人間の世の道理があるからにほかならなく、そこにこそ人間の矛盾があるからだ。

不文律との対立の象徴的な事例は韓国でも日本でも存在する。韓国では「風説の流布」で経済的な指導者であったミネルバが捕縛されて(いわゆる「ミネルバ事件」)、それから数年たった後、世宗大学教授の朴がいわゆる「帝国の慰安婦騒動」で捕縛された。どちらもこの法学の概念の対立モデルと近しい関係性ある。国内では大江や上野、アメリカではチョムスキーらが、朴の捕縛これを言論弾圧としてみ強固に朴への賛同の意思をつなぎとめた。池田はこの様子を矛盾としてとらえて大江もとより上野のことをマッチポンプとして厳しく批判した。それは、「もとより慰安婦騒動をあおっていた人物が今になってなぜ朴への言論弾圧を声高に叫び批判する権利があるのか?」というあくまで常識的な疑問に過ぎなかった。

「風説の流布」といえばライブドア事件で堀江が起訴された重要な法学の事例だったが、これが果たして成文法の概念をしっかりととらえたうえでなされたものなのかについてはかなり批判は大きい。堀江によれば検察の筋書きはどう考えてもあると彼自身言及していた。ほかの事例で例えるならば、インサイダー取引の問題もおなじだ。これはライブドア事件と時同じくして立件された村上ファンドの件でも同じ定義によるものだった。村上は”インサイダー”を微妙な感覚的なレベルの定義として取り上げ、自身が運営するファンドの行動を「社会」に対して形式的に謝罪した(もっとも検察は村上のこの「インサイダー解釈」に激高したが)。

「風説の流布」「インサイダー取引」の要件を見ればわかるが、どちらも形式的に人間を文言で規定することは難しいように現代では感じられる。現代の世の中ではテキストによってコンセプチュアルに人間を規定することがあまりにも難化しすぎている。トランプは”フェイク・ニュース”という言葉を多く使うし、トランプの論理が正しかったとしても”フェイク”である”ニュース”が「風説の流布」に値しないという保証があるだろうか?「インサイダー取引」でも同じことだ。週刊誌の報道によれば竹中はマクドナルドの非公開株を売却して利益を得たらしいが、しかしながら竹中は法令に違反しないようむしろこれにのっとって株の売買に応じただけだから、起訴しようがないし何の罪に問えないことは自明である。要するに竹中は「100パーセントのシロ」なのである。

こういった”不文律的成文法”の該当要件を見ていくと、人間の行動や価値観は現代に至ってかなり爆発的に広がって拡散しているその背景があることをみのがしてはならない。ゆえに成分構成主義による成文法によって人間を形式的にテキストによって自縛することが現代では無理に近い(もちろんそれは古代ではなおさらだった)。ミネルバ事件も朴の慰安婦騒動も堀江のライブドア事件も村上や竹中によるインサイダー解釈の問題もこの根底にある。人間は人間によって規定されえた「言葉という自由」自体に縛られ、そこから飛び立とうとするが、これはある種の夢想的な理想である。アメリカにおいてですら「政治的判断」はあり、マイクロソフトは独禁法に適用され分社化されることはなかった。これは米国の国益を考えれば当たり前のことだ。

つまるところ、「平等な裁定とは到底無理なことと等価」であるそのこと自体を表す。これは人間に課せられた現代における”枷”である。人間の社会の道理の発展がこの概念を克服できるまで進歩するかどうかは我々自身にかけられているが、我々は法学がいらなくなるまでその”自由”に縛られ続ける運命にあるのだ。

marikoi

ここの主筆・共同管理人。ぶっちゃけ狂人。

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